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2009年03月05日 涙腺アタッカー

熊木杏里ウインズ(競馬の方です)の周辺などに行くと、結構頻繁に聴くコトができる熊木杏里サンの曲、「雨が空から離れたら」が凄まじく素晴らしいので、この曲を聴くと、街中で一人いつも泣きそうな気分になってしまうのでした。元来はJRAのCM用に選ばれた曲のようですが、どういうワケか、熊木杏里というヒトと競馬というモノが完全には合致しないような気もする一方で、小田和正氏の“ウォーゥウォーゥ”って曲よりもマッチしているではありませんか、とも思うのです。


熊木杏里サンに関しては、この曲が入っているアルバム「ひとヒナタ」と「私は私をあとにして」を拝聴させて頂いたくらいで、詳しい事情は決して存じ上げませんけれども、非常に感情を揺さぶる歌声と歌詞で、とてつもない涙腺アタッカーだと思いました。高校生の頃によく聴いていた曲を今になって聴いてみれば、何かしら言いようの無い切なさや儚さをソコに感じたり重ねてしまったりして、クラクラしてしまう場合もあるのですが、彼女の曲は、それに似たものをさせてしまいます。しかし彼女のメロディーとは初対面なのに。
この恐るべき涙腺テロリスト、限りなく信頼のおける歌い手であることに違いないと思うのですが、如何せん聴き手からすればエモーショナル過ぎるきらいがあります(でも、こういう場合、本人は意外に飄々としていたりするからビックリなのです)。わたしの如く能天気に暮らしているモノからすれば、世知辛い世情を渾身の力で内面に叩き付けられるようで、ソレはソレは半端じゃない怯えを伴って熊木サンの声は受け入れなければいけない。婉曲に生きてきたモノにとって、メタファーな性分のモノにとって、彼女のように実直に想いを紡ぎ出すタイプは脅威なんです。変化球主体でやってきた自分の前で、その軟球を嘲笑うのかとでも言うように、ヒョイと155キロの真っ直ぐを見せつけられる気分。大変なコトです、コレは! ──つまり、それだけ彼女が発散する音に力があるのでして、今のわたしに出来るのは、この力が万が一にも鋭利にならないように願うことくらいです。モチロン、それは聴き手のなかでのハナシに限っているワケですけれども。

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