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2009年02月21日 黒澤明の凄さ 映画の面白さ

今、BSで「没後10年 黒澤明特集」と題しまして、黒澤作品全30作が順次放送されています(参考リンク:没後10年 黒澤明特集)。二週間くらい前には、人気投票で最も支持を集めた上位5作が毎晩放送されていました。その5作とは以下の通りです(参考リンク:没後十年 黒澤明特集 あなたが選んだ黒澤アンコール 結果発表!、ちなみに括弧内は下記5作品中の個人的な順番)。


5位 「天国と地獄」(3)
4位 「生きる」(4)
3位 「用心棒」(2)
2位 「赤ひげ」(5)
1位 「七人の侍」(1)


わたしは映画をほとんど知りません。人並み以下の見聞録です。一番好きな映画はジャック・ニコルソン主演の「カッコーの巣の上で」なのですが、これとて2回くらいしか見ていません。況や黒澤明においてをや……なんです。事実、今回の特集で「天国と地獄」以外の作品を初めてしっかりと見た次第なのですから。従いまして、わたしが映画について何かを述べるなどというのは、本来まったくおかしな話なのだと思います。おこがましいと思います。でも、今日はこうやって言おうとしている。声を出し始めている。


面白い。ただそれだけなのに、何かを言いたくなってしまいます。それが黒澤明の魅力なのでしょうか。上に掲げた5作品はどれも大層面白いものでした。現代劇の「天国と地獄」にしても「生きる」にしても、はたまた時代劇の「用心棒」、「赤ひげ」、「七人の侍」にしても、どれも一刻たりとも飽きさせない魔力が観るモノを包み込んでしまう、そのような印象を抱きます。三船敏郎の大胆にして豪快な演技と志村喬の百面相の如き変幻自在の変貌ぶり、この二者を中心にして作り出される世界は、まさに<迫真>そのものなのでしょう。特に志村喬の演技には唸り声をあげそうになります。この数週間で、わたしはすっかり彼のファンになってしまいました。
超有名作である「七人の侍」も、実は初めて見ました。およそ3時間に渡る大作なのですが、どこにも隙がないではありませんか! 終盤の戦シーンは言わずもがな、お侍集めの場面や村での下見の場面、どこを切っても生きているのです。各々の「絵」が呼吸し続けています。そして最後の「今度もまた負け戦だったな…」との一言に、侍という身分に付き纏う冷酷さ、百姓という身分に備わる冷淡さが見事に収斂されていく仕上がり具合。恐れ入った。これはとんでもない映画です。


今になって黒澤明監督の魅力に取り憑かれてしまいそうなのです。DVDが欲しくなってきました。黒澤作品からは無頓着なわたしにも映画の面白さを伝えてくれるような、そんな力を感じるのです。賛嘆、それ以上。
さて、次は土曜の夜(時間的には日曜の午前)に「野良犬」があります。これも楽しみです。

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