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2008年08月10日 セミからの教訓

セミの共鳴。喧噪。
今更申し上げるまでもないが、セミは凄まじい。約七年ほどの期間、地下に潜伏致しておきながら、突如としてタイミングを窺って地上へと這い上がり、脱皮した後は木から木へと飛び回っては鳴き、鳴き回っては飛びの生活を送った後、数週間で死すのです。よくよく思考してみたならば、この昆虫は阿呆だ。地上にさえ出てこなければ良いものを、わざわざ這い上がり、木によじ登り、ソコに抜け殻を遺棄して旅立つ。──死への飛行。12泊13日程度の自殺旅行でしかございません。彼は大層な野心家なるか。俺がセミならずっと地中で安息の生活を送るぜ。セミの地上への登場はハイリスク・ノーリタンでしかあるまい。己の寿命を削ってまで何故現れるのです。出たがりか? 通常一ヶ月ほどで命を失う昆虫の中におかれまして、彼奴は数年もの寿命を付与されるにもかかわらず、土の奥深くにおればより長期間生きながらえるコトができたものを、突如としてその安逸を放擲しまして、変身致したかと思えば、すぐ死ぬ。もう死ぬ。喧噪だけを残して。阿呆だ。これほど己の命をムダに使う阿呆も滅多におらぬ。ロクでもない親不孝モノでございました。親の英才教育を受けまして東大を主席で卒業するという運命を手にしたにも関わらず、大学卒業後はジンバブエの奥地で自給自足の生活を営むと言い出すくらいの戯けです。
結論と致しまして、セミから学べるコトと言いますと、人生、ムリしてもロクなコトはないぜってな教訓。要するに我々はセミを引き蘢りの味方として見るべきであって、野心的な起業家へのアンチテーゼを彼の無謀な生涯の終わりを通じて感受せねばいけない。往々にして冒険は裏目に出るのです。 そうだ!そうだ! 家にいるのが一番! お盆休み? 海外旅行? オリンピック? ノーノー 家で寝ていなさい。──セミは我々に斯かる教訓をご教授するために、今夏も只管喧噪だけを残し、死に行くのでした。

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