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2008年05月08日 裸の大将アルバム

The Slip暑さが漫ろに自己主張を開始した初夏。その虚をついてNine Inch Nailsが、と申し上げるよりもトレント・レズナーが、オフィシャルサイト上でニューアルバム(「The Slip」)をタダで解放致した。
参考リンク:nin.com
→アルバムダウンロード:nine inch nails: the slip


最近は斯様な試みの増加しておるコト、タダほど高いモノは無きとやら何とやらではありますが、しかし、こうして一流の人々が野心的にも己の渾身の一撃を普くに平等に問いかけんとする挑戦は、果たして如何なる影響を及ぼしてあるのだろうか。そもそも何たる手段で以てその制作費を回収する予定でございましょう。ライヴだけで達することが出来ようか、いや、よく分からぬ。


と、いうワケで、私もタダの恩恵に与って、ダウンロードさせて頂きましたのでしたが、嗚呼、フツウに立派なアルバムだ。(しかもどうやら曲毎にイメージピクチャー[ジャケット]が異なっておる手の施し具合!)
タダでっせ。
コレで良いんか。
正統なNINの音、シッカリした従来のトレント・レズナーの表現。
真新しさこそ無いモノの、だがタダで世に提供されたる一品にコレ以上の度合いを希求したるなどというのは横暴に過ぎるってモンだ。もしや!彼は何ともマゾヒスティックな… イヤ、ソレは早合点であるか。
だが、何であれ、おそらくタダで配布されてある音源の中では最高峰に位置する作品ではなかろうかと思うのでして、コレを眼前に、コレを以て、さもドラマ「裸の大将放浪記」にて、画伯が旅先に御礼と致して自らの秀逸なる作品を残して颯爽と去り行く様を想起しましたモノも、決して私だけではあらぬと思慮したのです。


…という結論で、コレは「裸の大将アルバム」でした。
だが、果たして本作は全然“Slip”するようなシロモノではなく、むしろ“Jump”しても摩訶不思議と言うには及ばぬ完成度。──強引に過大解釈するならば、コレをタダで受け取った方が驚いて“Slip”するゼ的な、イヤ“Slip”させちゃうゼ的な、斯かるイタズラ心までもが見え隠れのする嬉しい一品、お得な一品。オススメの一枚、裸の大将万歳!

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