« 観客意識と役者意識 | もどる | 締めが最悪 »

2007年10月20日 いざ正倉院へ

夢の無い生涯を送って来ました。
自分には、人間の有り様というものが、見当つかないのです。自分は四国の田舎に生れましたので、アフロヘアーをはじめて見たのは、よほど大きくなってからでした。


人間の資格を失したモノが書きそうな文言が口をついて出る。“人間失格”の証しであろうか。
現在の私は、およそ思い浮かぶ限りの<人間らしい>夢を持てないでおりますので、浅薄なる情熱にでも砂上楼閣に過ぎぬような感動の幻影にでも揺り動かされてみたいと願う。
今夏に私は書きました。以下に引用を施してみたい。


今年の夏休みは名所観光に繰り出そうと思います。遺跡、お寺、意味不明な建築物。色々と見て来きます。名所観光をするのに絶好の位置に住んでいたということを忘却していた。非常に情けない。


夢の無い生涯のままではいけないとココロが慟哭し憔悴し、やがて私を動かす、はずだったのであるが・・・
夢を探索す旅に赴かんと欲しておった初夏。しかしながら日々は淡々と無愛想に流れ、最早霜月が目前まで行進してきておるような現状に至りて、此のままにては<嘘つき>の汚名を着せられんことは必至であります。夏、テメェは何をしておったのかと尋問致されますれば、私は斯く返答するしか方途がございませぬ。即ち「引き蘢って読書若しくは御昼寝、要するに堕落」と。
嗚呼、名所観光の「め」の文字すら望めぬ堕落人生。
活力の無い生涯を送って来ました。


此処に達して愈々名誉挽回のチャンス到来す。秋には起動可能かもしれぬ。いや、一度だけ起動するのだ!
私は赴く! 今秋こそ赴くゾ! 此の場にて高らかに宣誓致します以上、動かぬワケにはいかぬ、というトコロまで己を追求し、或る場所に赴くのです。私自身を赴かせよう。
あ〜あ、言ってしもうた。もう言ったが最後、行くしかありませぬではないか。


今秋、奈良は「正倉院展」に向かうのである。
第55回 正倉院展
平成19年10月27日(土)〜11月12日(月)


ご存知の通り「正倉院展」は期間限定である。毎年この時期にしか公開され得ぬのでありますから、この機会を逸せばまた来年まで我慢せねばならぬので、其れはもうそろそろご勘弁願い度しだ。中学のあの頃、歴史で「正倉院」の存在を知り、奇妙奇天烈なお宝の数々が保管されておる場所だと知るや否や、私の潜在的な盗賊意識が刺激されたコトは嘘であるが、とりあえず一度はその怪しげなるお宝の品々を生で観察しておきたいと願いながら、幾年の秋を見過ごして来たったコトでありましょうか。不覚!今年こそ今年の秋こそ、私は正倉院に赴きましょう。
モチロン一人で行く。何故にか? お友達が存在せぬから。否、単独行動が大好きだから一人で東大寺の周辺をブラブラしたいのであります。平日の昼間に東大寺周辺をウロチョロ、こんなコトが可能なのは老人か学生くらいでございましょうか、もしくは変質者か。
計画と致しましては、10月の29日(月)或は11月の1日(木)の何れかにしたいのであるが、其れは天気の具合などと御相談の上で決定し申し上げよう。
然し乍ら唯一確実な真実は、私は、今秋、奈良は「正倉院展」に向かうのである!


それでは赴いた暁には御土産話の一つや二つを此の場に記してみようと企図しておるのですから、どうぞ交通安全を祈願して、無事に到着及び帰宅が可能なようにアナタ様も念じておって欲しいのでした。
「正倉院」は逃げぬ、今秋の私も逃げぬゾ。


正倉院に行かぬ生涯を送って来ました。今秋までは。
と書ける日よ、もうすぐではないか。

« 観客意識と役者意識 | もどる | 締めが最悪 »