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2007年09月02日 怪奇!爺ちゃんの世界

爺さんというのはやはり私たちの世代には分からない面が多々ある。私も四国の山中に一人で暮らしている祖父のコトが実はよく分からない。
例えば…

『雷が凄かった日の回想。』
爺ちゃん「雷がゴゴゴゴゴゴゴ鳴ってのぅ、こりゃおとろっしい(恐ろしい)と思いよったらゴーって、近くに落ちたんじゃ」
私「大丈夫だった?」
爺ちゃん「テレビがビリビリビリビリ大きな音立てて、映らんようになって…もう婆ちゃんとおとろしい言よったんじゃ」
私「爺ちゃんは大丈夫だった?」
爺ちゃん「テレビがビビビビビビビビビビビいうて、おとろしかったんぞー」
私「…テレビ壊れたん?」
爺ちゃん「ビリビリビリビリいうて、ガーとなったけんのぉ、消したんじゃけど、その後に付けてみたら映らんようになっとったわ ビリビリビリいうて、ガーとなったけん・・・」
私「ヘヘ…ガーとなったん?」
爺ちゃん「雷でビリビリビリいうて、おとろしい思いよったらドーいうて、大きな音の後にテレビがガァーなったけん…」
私「それで壊れたん?」
爺ちゃん「壊れてしもた」
私「ガーってなって?」
爺ちゃん「テレビがガァー!いうて、雷が落ちたんじゃ」
私「ビリビリビリビリいうて?」
爺ちゃん「外に出たら危ないぞ ビリリリリリリリリッいうて、近くに落ちたらコトじゃ!(「大事じゃ」の意)」


「ビリビリビリビリ」とか「ガー」とかそんなのばっかり。同じことを何度でも言う。面白いから何度でも聞いてしまう。


『爺ちゃんの腕相撲自慢。』
爺ちゃん「ワシはこの村で一番腕相撲が強いんぞ」
私「色んなヒトと勝負したん?」
爺ちゃん「若いときは誰にも負けんいうて、強かったんぞ」
私「この村で一番?」
爺ちゃん「村で一番じゃ。今でもトモ(私の父の呼称)より強いぞ」
私「負けたことないん?」
爺ちゃん「誰にも負けんかった この区域で一番じゃ」
私「区域で!? 村じゃなくて!?」
爺ちゃん「この区域では一番じゃ」
私「そんなに強かったんかー」
爺ちゃん「今でもお前等には負けん この区域では一番強い」
私「そうかぁ」
爺ちゃん「今でも力仕事するけんのぉ、まだまだ負けんとは思うとる」


横から母親が「アンタなんか力無いから爺ちゃんには勝てんわ」


爺ちゃん「ワシはこの○○(地区の名前)では一番強いぞ」
私「○○ってこの辺だけやん!住人5人くらいしかおらんやん!村で一番じゃなかったんか!?」
爺ちゃん「○○では一番強い!」


ナゼか徐々にスケールダウンしていく爺ちゃんであった。


『忘れるな!爺ちゃん。』
お墓参りにて。ウチのお墓の前のお墓を見て、
爺ちゃん「この人は終戦の一日前に戦死しとるわ」
私「へぇー」


爺ちゃんが見ていたお墓の側面に記されている死亡年月日を見る。「昭和一九年八月一四日 ○○(南方の島)にて戦病死」


私「爺ちゃん!昭和一九年! 終戦の一年前よコレ」
爺ちゃん「ほーかい(そうかい)、一年前か」


数分後…


爺ちゃん「トモ(父)、この人は戦争の終わる一日前に死んどるわい」
父「ああ、そうか」
私「いや・・・だから・・」


『畑に猿が出た日のこと。』
爺ちゃん「猿が出てのー、ワシが見つけても逃げたりせんのじゃ もう完全に人間を馬鹿にしとるわ ワシが追いかけても逃げれる思てのー」
父「そんで猿は畑のモンを取るんか?」
爺ちゃん「網で防いどいても、賢いわー 隙間からトマトを持って行って、コッチをチラチラみながら食いよったわいなー」
父「どうにかできんもんかのー」
爺ちゃん「ワシが見つけても逃げたりせんのじゃ もう人間を馬鹿にしてしもうとる」
父「なんとかして対策を立てないかんぞ」
爺ちゃん「網で防いどいても、隙間からサッと取るんじゃ」
父「そんで逃げんのか?」
爺ちゃん「全然逃げん 人間を馬鹿にしとる」
父「どうにかならんかのー」
爺ちゃん「網の隙間からサッと持って行っきょるわい」
父「なんとかせな全部持って行かれるぞ」
爺ちゃん「網の隙間からサッと取っての、向こうで堂々と齧じっりょるわ」
父「そない堂々とか 猿も人間をナメきっとるのー」
爺ちゃん「ワシが見つけても逃げたりせんぞ ちょっと近付いて来て挑発したりするんじゃ」
父「完全にナメられてしもうとる」


お気付きの通り会話が全く前に進んでいないのです。爺ちゃんも爺ちゃんだが、父も父だ…こういう会話を延々と10分くらいする。


『爺ちゃん・・・』
ケータイを買った父が、その機能を爺ちゃんに説明していた時のこと。
父「そんでのぅ、このメールってヤツはどこにおっても手紙のような感覚で通信できるんじゃ」
爺ちゃん「ほーぅ、大したもんじゃわい」
父「もう今は何でもメールになって、誰でも彼でもメールしよるわ」
爺ちゃん「そんでコレは何するモノぞ?電話か?」
父「電話じゃ!電話!」


私(心の中で「爺ちゃん・・・」)


爺さんというのは本当に謎だよ。爺さんのいるところに謎ありき。

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