« 怪奇!爺ちゃんの世界 | もどる | 溜め息、出た! »

2007年09月04日 「不法投棄禁止」の恐るべき意味

「不法投棄禁止」と書かれている看板をよく見かける。そしてソレを見るたびに私は、「この看板を作ったヤツは日本人だろうか?」と疑ってしまう。


ちょっと考えれば分かると思うけど、「不法」ってのは「禁止」ってこと、つまり「不法」は「禁止」された行為を指すワケで、にも関わらず「不法投棄禁止」などと書くのは「禁止行為禁止」と言っているようなモノ。「不法」という言葉の中には既に「禁止」という意味が含まれている。結局「不法投棄禁止」は意味がカブっているワケね。
だからこの場合、「ゴミの投棄禁止」とか「廃棄物の投棄禁止」と書くべきだ。
本来、「不法投棄禁止」なんて気狂い的な看板を立てる連中の意図は、「ココにはゴミを捨てないでおくれ」的なメッセージを社会の人々に投げかけているのだろうけど、残念ながら見方によっては、こんなオカシナ日本語が記された看板を堂々と掲げているようなヤツは日本人じゃないか、もしくは日本語を理解出来ていないバカかと推測されて嘲笑されるだけでござんす。


だが、逆説的にこうも考えられる。「不法投棄禁止」という言葉があるのならば、「合法投棄禁止」という言葉もあるはずじゃないか、と。そしてそこから少し視点を移動して推察してみると、「不法投棄禁止」、すなわち法に従わないやり方での投棄は禁止されているが、法に従ったカタチでの投棄=「合法投棄」ならば禁止されていないのではないか、とする疑いが生じてくる。もしかすると「不法投棄禁止」と記された看板のある場所は、あるやり方でならば投棄しても良いってコトなのかもしれん。じゃあ、その「あるやり方」、「不法投棄」ではない投棄、つまり「合法投棄」とは何ぞや。今のトコロ、それを説明してくれる丁寧な看板を見たことが無いから、私はこれ以上何も言えない。
だが、ココで私が強調したいのは「不法投棄禁止」は「合法投棄許可」とする土地所有者の意思表明かもしれないじゃないか、というコト。コレは実に重要なコトだと言わねばなるまい。「不法投棄禁止」と記された看板、それは一見すると「ああ、オカシナ日本語だが、とりあえずココには何があってもゴミを投棄してはいけないのだな」と思いがちだが、実はそうじゃない。その退廃的だが挑発的な文句の裏には「勝手に捨てられちゃあ困るけど(「不法投棄禁止」)、ちゃんとした手順で捨てたのなら許すよ(「合法投棄許可」)」という、土地所有者の寛大な心持ちが表現されていると考えられなくはないのである。
そしてココでいう「法」とは日本政府が定めたものばかりとは限らない。その土地を所持している者が定めた「法」があるかもしれぬ。「goo 辞書」で「法」を調べると、一番最初に「物事に秩序を与えているもの。法則。のり。」と出てくる。どこにも「国家」や「政府」などの文言は見当たらない。やはり個人が決定した「物事に秩序を与え」るための「もの」を「法」と称しても、その意味上に誤りは無いのだ。だから「不法投棄禁止」の裏に潜んでいる(と推測される)「合法投棄許可」の「合法」手段、それは土地所有者の意志の中に存在しているのではないか。


「不法投棄禁止」、この日本語は表面的に捉えれば確実にオカシイ。が、もはやそんなコトはどうでも良くなった。「不法投棄禁止」の文句、これが意味する内容は、アナタは絶対に捨てちゃあいけない、ってコトじゃない(多分)、という新たな発見をしたのだから! 何らかの「法」に従えば捨てても良いってコトさ。
さぁ、次なる問題が生まれてきたゾ! それはもう言うまでもない。その「法」を発見することだ。そうすれば新たなゴミ捨て場が誕生することになる。これはゴミ処分に困っている現代人たる私たちにとって大いなるチャンスだと思って良い。

« 怪奇!爺ちゃんの世界 | もどる | 溜め息、出た! »