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2007年03月09日 覚醒術

Freedom Bondage普段「ロック」というものが何であるのかなどとは考えもしないが、もしそういう問いかけがなされるのであれば、それはZeni Gevaのこのアルバム、すなわち「Freedom Bondage」において顕著に表現されているようなものであるといえよう。


これぞまさに正真正銘最高のロック、ロックンロール、ヘヴィ・ロック、パンク・ロック等々、兎に角ロックと名の付くもののお手本になるような一枚である。
しかもタイトルがやたらと素晴らしい。何しろ「Freedom Bondage」である。直訳すれば「自由束縛」
思えば世の中などほとんどが「Freedom Bondage」ではないだろうか。表面はどれだけ自由を標榜していようとも、内なる面では種々の束縛を受けている。それが社会秩序というものであれ、道徳というものであれ、信条というものであれ、全ては結局のところ「Freedom Bondage」であることを、我々はふと気付かされることがある。
Zeni Gevaは何も社会的なメッセージを発するバンドというわけではないが、その重厚で凶暴で粗野でいきり立っているかのような暴力的サウンドは、聴き手の感度を究極的に高揚させると同時に、それが醒めた瞬間に思わず“マイナス地点”へと目を向けてしまう程の冷酷さを与える。そしてその白昼夢のような覚醒感こそロックンロールがなせる最高の魔術であり、また世の中が「Freedom Bondage」でしかないことを知らしめる技に他ならないのだ。


Zeni Gevaが不世出のロックンロールを怒鳴り散らせ続けられる所以は、そのような術を駆使できるからである。

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