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2006年10月29日 ハードに責めて

NARKISSOS17年ぶりの再結成らしいサディスティック・ミカ・バンド(Sadistic Mikaela Band)。
どうやらカエラちゃんの参加ばかり注目されているようだけど、ぶっちゃけ彼女がいなくても良い!と思わせるくらいの傑作アルバムを出して来られた。
正直なところ、驚くべき駄作だろうと思って聴いたんだけど、全然そんなことはない。今年聴いた中で一番良いアルバムだ。まさかここまでヤるとは!


なんというか、とにかく全員が好きなことをやっているのが良いね。
この人たちはそれぞれ素晴らしい実績を残されておるから、今更名誉とか賞賛の声とかはいらないんでしょう。各自心の赴くままに曲を作ってきて、それを楽しんで奏でているのが分かる。そして抜群の演奏力。一切の誤摩化しなし。真正面からロックンロールですか。随所に見られる60年代におけるイギリスのモッズ系バンドのようなサウンドが、偽りなく「楽しい」。


一方で幸宏作曲の4曲目「Last Season」、7曲目「Tumbleweed」なんか思いっきりSketch Showと同心円上にある曲なんだけど、なるほど、今、彼の曲をミカ・バンドでやればこうなるのか!と思う程の秀逸さ。


多分、メンバーが好き勝手に曲を書いたんでしょう。それ故、統一感には欠けるけれども、逆にいえばそれだけ個々の懐の深さを感じられるわけです。
バンドを離れるとそれぞれ全く異なる音楽をやっているけど、それを今一度持って帰ってきて、改めてやってみたらこんな風になりましたよ、って作品。そしてこれが驚くほどパワフルな傑作になってしまったという嘘みたいな話。いやはや本当に“サディスティック”な連中だ。どれだけ責めりゃ気が済むんだ。本当に「タイムマシンにおねがい」して昔に戻り、感覚を取り戻してきたんじゃないだろうか、とさえ思った。

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