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2006年08月25日 叫びの意味とは?

Y「狂気」といえば、やはりピンク・フロイドを思い浮かべるヒトが多いのだろうか。私は、ピンク・フロイドの「狂気」はいささか抽象的な意味での「狂気」じゃないか、と思う。もっと分かり易い、直の「狂気」というのであれば、例えば、Suicideや初期のボアダムスなんかが相応しいだろう。


今回取り上げるポップ・グループも、ある意味では「狂気」を表現したようなバンドだが、多少ほかの連中とは異なる。
その決定的な違いは、やはり音楽的な広がりだ。
彼らの曲は、パンクやファンクやダブ・ミュージックなどを基底とした上に成り立っている。音楽的にはかなり豊穣なバックグラウンドを持っているようである。
ただ、曲の中ではそれらがゴチャゴチャになってしまい、一つの塊と化しているがために、非常に様々な要素が顔を覗かせているのが面白い。


そしてマーク・スチュワートの「死んでしまえ!」と言わんばかりの鋭利な叫びは、暴力的であると同時に、心の奥まで染み渡り聴き手を解放させる即効性を持っている。


仮にピンク・フロイドの「狂気」を閉じられた感情ゆえのものとするならば、ポップ・グループの「狂気」は開け放たれたものであるといえる。
どちらが優れているとか言うのではない。
重要なことは、自分の感情とどう折り合うかだ。
そう思う時に、マーク・スチュワートのあの叫びの意味も、少しは理解できるような気がするのだ。


ところで、ポップ・グループは、この「Y」以外のアルバムはほとんど売られていない。なぜかいつも廃盤状態だ。たまに再発されるみたいだけど、やっぱりすぐに消えてしまい、いつの間にか廃盤扱いになっている。それだけポップ・グループの音源を求めているヒトが多く、すぐに売り切れるということなのかどうかは分からないが、とりあえず「Y」以外のアルバムを店頭で見かけることは滅多に無いと言って良いだろう。なぜ「Y」だけが常時購入することができる状態なのかも分からないが、どうせなら他の2枚も「Y」と同じくらい出せば良いのにねぇ。

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