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2006年08月19日 彷徨

Rock Bottomテレビでよく見る映像に、重病患者の生への強い意志を捉えたものがある。
難病と闘う患者、移植手術を受けた患者、または受けなければならない患者の生き様を追い、彼らに密着している。
そのような人々は、想像もつかない程に強い意志を持ち、生きようとしている。
強い生命の希求。彼らを動かす源は何であるのか。私はいつも考えさせられる。


このロバート・ワイアットの「Rock Bottom」も、限りなく強い生を求めた末に辿り着いた一つの境地であろう。
彼は事故により下半身不随となった。その絶望の後に立ち上がり、作り上げたのがこのアルバムである。
元ソフトマシーンのドラマーとして語られることもあるが、ただのドラマーがこれ程までの歌を作れるだろうか。
彼はドラマーである以上に、天性の才を持ったヴォーカリストであろう。


この声の力強さの根源は何か。
間違いなく生への希求によるものだろう。
生きるということを諦めない限り、その未来に可能性は、ある。
このアルバム以上にそれを教えてくれるものが、果たしてどれくらいあるだろうか。

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