2006年08月18日 全部目の前にある
FISHMANSのラスト・ライヴを収録したアルバム、「98.12.28 男達の別れ」。
このアルバムは、やはり悲しい。
これ以外のアルバムでは普通に聴ける曲も、ここでは格段に悲しく聴こえてくる。
何が悲しいって、このライヴには、"最後"を感じさせる空気が全く漂っていない。
まだまだ続きがあって、このライヴはただの節目にしか過ぎない。
おそらく、誰もが、そう思っていただろう。
この後に訪れる突然の「別れ」とは無縁の音楽だ。
悲しい雰囲気がほとんど伝わってこないから、逆に悲しくなる。
あまりに突然の別れ。
それは日常的なものだと実感させられる。
このアルバムは、ある意味では、残酷な現実世界を克明に封印した作品と言えるのではないか。
ここまで現実的な、突き抜けた切なさ・悲しさ・寂しさを感じさせるアルバムは、滅多にあるものではない。
男達の「別れ」 そう 別れとは唐突に訪れるものなのだ、ろう。