« 郷土愛→愛国心の謎 | もどる | ふと思ったこと。 »

2006年05月30日 「キーチ!!」9巻

「キーチ!!」9巻キーチ9巻。一応本日発売です。私も近所の本屋で見つけました。本棚の隅にこっそりと一冊だけ置いてた。なんちゅう扱いの悪さだ。


ところで「子供編」ってなんじゃ。今までずーーっと子供編だったのか。次は大人編になるのか。しかしよく分からん。とりあえず自然にフェードアウトってのだけは勘弁願いたいものです。


内容については、コレを読んでるヒトの中にまだ9巻を持ってないヒトもいるだろうから善意のある割愛。


まー、一言にいえば相変わらずスゴい。
何が、どこが、どのように、どうなっているから、スゴいのか。具体的な感想を書き出したら3時間くらいかかりそうだから止める。


この9巻は新井英樹の皮肉たっぷりな現実描写漫画と捉えて良いかもしれん。決して責任追求をしようとかいうのではなく、単に、民主主義をはじめとして、自由競争経済または最近良く言われる「格差社会」、及び政府やマスコミ各機関、さらにはマジョリティーに群がる連中、状況によって都合良く変わる現代社会の民意・世論などへの批判などを含みつつ、でも、結局それら全てをシュールにアイロニカルに、第三者的視点から描いているような感じ。言い換えれば、甲斐が言う世の中を動かす「金」「法律」「情報」「暴力」の四つに取り付かれた軽薄な観念への疑問とも言えるのではないか。
時代とその対象こそ違えど、作者である新井英樹自身の中には、宮沢賢治が童話の中で描き出したようなタイプの厭世的思想や純粋な人間性と共鳴し合う部分があるのかもしれない。などと感じました。


それにしても甲斐の台詞回しと、キーチの眼は恐いくらいだ。作中のセリフを引用すれば「あの眼光、ただ者じゃねえぞ…」という意外に、無い。
もし、現実社会に、キーチみたいな少年が降臨すれば、世の中はどんな風に受け止めるんだろうか? ねぇ。

« 郷土愛→愛国心の謎 | もどる | ふと思ったこと。 »