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2006年04月08日 伝える、ということ。

DuskThe Theというのは非常に厄介なヤツである。
何が厄介かというと、コイツをamzonなどで検索する時に「The The」と入力してもヒットしないのである。
それ故、仕方なく「Dusk」やら「Mind Bomb」といった作品名で検索することを余儀無くされる。全くもって困ったものである。
厄介なのはそれだけじゃない。The Theというのはバンドで活動してみたり、マット・ジョンソンのソロ的な活動として登場してみたりとその実態も捉えようが無い。
おまけに音楽的なスタイルもアルバムによって、結構大きく変遷を遂げている。
The Theは一概に語ることができない、複雑なバンドだ。


で、The Theといえば、「Mind Bomb」か「Dusk」が最高傑作であるとされている。
私もそのどちらか、いや両方がイチバンだと感じており、最近はThe Theのアルバムではこの二枚しか聴いていない。ような気がする。
そういうわけで、ここではそのどちらかについて書いてみようと思ったが、どちらにするかはすぐに決まった。


今回取り上げた「Dusk」は、驚くほど真摯な歌で溢れかえっており、マット・ジョンソンの持つ率直さがダイレクトに伝わってくるアルバムだ。
「Dusk」はできる限りの飾りを払いのけ、ただ"感情"を伝えることだけに重点が置かれている。
前作「Mind Bomb」が比較的多彩なサウンドの上に成り立っていたのを考えると、全く対照的なアルバムだといえる。
そして何より注目すべきはその歌詞である。
マット・ジョンソンほど真正面から社会を捉え、人心を駆け巡る感情を露にし、それでもなお悲観することなく力強く歌い続ける人物はいないであろう。


「If you can't change the world. Change yourself.
If you can't change the world. Change yourself.」


世界を変えられないなら、君自身が変わるんだ。
と歌う"Lonely Planet"の歌詞に、マット・ジョンソンの道徳観は凝縮されているのではないか。


希望だとか愛だとか自由だとか絶望だとか勇気だとか孤独だとか、そういうことについて思うことがあるなら是非このアルバムを聴いて頂きたい。
全面的ではないが、おそらく一通りのものを感じられるはずだ。
マット・ジョンソンの歌は決して気楽に聴けるものではないが、真剣に聴こうとすると必ず色んなものが見えてくる。
それだけのものを表現している人なのだ。マット・ジョンソンという人物は。

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