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2006年02月11日 唯一無二の存在

ジャックスの世界「ジャックスの世界」は完璧な世界。まずこのジャケットが良い。ダメすぎて良い。このジャケットは何かを意味しているようで、実は何も意味してないんじゃないか、と思う。しかしこの無意味なジャケットが、ある程度「ジャックスの世界」を物語っているのかもしれない。私が思う「ジャックスの世界」は空虚で地に堕ちた世界。まさに「からっぽの世界」なのだ。


名曲「マリアンヌ」から全ては始まる。早川義夫の叫びとも取れる、痛切な思いが詰め込まれた歌は、もはや歌という箱には収まりきるものではない。思いをただ吐き出しているかのような歌声は、聴く者のココロをどこか別の場所に連れていくような不思議な魔力を秘めている。
早川義夫という人物のスゴいところは、歌にこうした圧倒的な力を宿らせているところであると思う。悲しい歌を、本当に悲しく歌うことのできる数少ない歌い手である。


1968年にこのアルバムは発売された。はっぴいえんども頭脳警察も出てくる以前に、これほどのアルバムを出していた者達がいたことには、驚くばかりである。しかし、このアルバムが発売された当時は、キワモノ的な扱いをされていたと聞く。そして現在。キワモノ的な扱いはされなくなったが、どこを見回してもジャックスのようなバンドは存在しない。いや、存在しないのではなく、存在し得ないのだ。彼等はまさに未来永劫、唯一無二の存在なのだ。


ジャックスはその存在自体が奇跡的である。そして、その中心人物である早川義夫が再び歌い出したことも、また奇跡的なことではないか。こんな時代だからこそジャックスや早川義夫の歌が、必要なのであると思う。

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