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2006年02月11日 カリスマ小学生たち

キーチ!!新井英樹が浦沢直樹や井上雄彦なんかと比べて足りないものはおそらくポピュラリティーでしょう。
ストーリー展開や構成、画力、セリフといった点では浦沢や井上なんかをも凌駕するほどのものを持っているとも言えるのですが・・・・
でも逆にそこがこの方の魅力であったりもするわけです。


ということで、再びポピュラリティーのない新井英樹作品を紹介。
この「キーチ!!」を超簡単に説明すると、染谷輝一(通称:キーチ)が悪を裁く話。
というと三流のヒーロー漫画みたいに思われるかもしれないな。でも、あくまでもこれは「新井英樹の漫画」ということをお忘れなく。


今のところ7巻まで出てますが、話は二つに分けることができます。
まずはキーチが幼年期の頃の話(1巻〜5巻の半ばくらいまで)。キーチは幼い頃に両親を通り魔に殺されます。しかも目の前で。
そこから話が発展していき、キーチがホームレスの女性と暮らし始めたり、目の前で「ピーナッツバター(SEXのこと)」をしているのを見たり、挙げ句には捨てられたりと、なんやかんやで波瀾万丈。


もう一つはキーチが小学生になってからの話(5巻の半ばくらい〜)。やたらと自我が強く、独立心のあるキーチは今まで2人の教師を潰し、転校やむを得ない状態となり、祖父のいる長野は松本に越してきます。
ここからが小学生編の始まり。
転校初日の挨拶でいきなり「誰も俺にかまうな」などといういかにもな発言をするキーチですが、同じクラスのみさとが父親に売春させられていることを知り、唯一キーチが心を許した"参謀"甲斐とともに悪い大人たち相手に、マスコミ関係者を味方に付けて奮闘します。


ヒジョーに適当なあらすじは以上のような感じ。なわけですが、いやぁ この作品に出てくるキャラがどれも素晴らしいのですヨ。
特に甲斐なんて本当に小学五年生かよ、と思うくらいの秀才。カツオやのび太と同い年なのが信じられません。


そして相変わらずの「新井節」。めちゃくちゃセリフ回しが巧いんだよな。
甲斐と父親のやりとりのシーンなんか最高です。
詳しくは読んで下さい。


カテゴリー分けし難い漫画な上に、この人の描く漫画はいつ落とし穴があるか分かりませんから、これからの展開がまったく読めません。
でもムチャクチャ面白い作品です。
今連載されている漫画で一番好きな作品です。


キーチの振り上げる拳が見たければ是非。

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