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2009年05月04日 なぜすぐに実写化したがるのか?

『デスノート』実写化、ファンの期待と不安


最近、漫画作品を映画にしてしまおう!という「実写化」の勢いがとても喧しいようです。どうせ暇ですので(思いつく限りで)近年に実写化された漫画作品を以下に列挙してみたいと思います(映画・ドラマの区別を問わず)。


わたしの場合、真っ先に知ったのが「釣りバカ日誌」です。とは言っても、映画の存在を先に知ってから後に原作が漫画であったコトを知ったのですが。コレと同様の例はまだあります。「白鳥麗子でございます!」「金田一少年の事件簿」「サラリーマン金太郎」「きらきらひかる」「カバチタレ! 」「ガラスの仮面」「ザ・シェフ」「ピンポン」「ハチミツとクローバー」 … 金田一少年も金太郎もあまり漫画を読んでいなかった時分にドラマ化されましたので、後になって原作が漫画であった事実を知りました。その時は別段驚きませんでした。驚くようなことでもありません。というより、驚いても仕方ありません。あと、上記の中では堂本剛主演の「金田一少年の事件簿」と「きらきらひかる」が好きでした。でも、一番好きだったのは「ガラスの仮面」です。が、コレはまったくの余談に他なりません。どうもスイマセン。
続いては、原作の存在を先行して知っていた場合。「ろくでなしBLUES」「カメレオン」「ピューと吹く!ジャガー」「キューティーハニー」「海猿」「20世紀少年」「花より男子」「ブラック・ジャック」「ゲゲゲの鬼太郎」「忍者ハットリくん」「デビルマン」「DEATH NOTE」「NANA」「ROOKIES」「ドラゴンボール」…
挙げていけばキリがありませんのでこの辺で終わりにしてやろうか!!??
しかし、ココまでチンタラと作品を列挙してきたのには、次のような素朴な疑問があるからなのです。すなわち、「なぜすぐに実写化したがるのか?」
今回はこの疑問について少しだけ考えてみたいのです。


その理由として、まずはオーソドックスにこーゆーコトをすれば当たり易いというのがあるかもしれません。原作の人気によってその物語を支持するヒトたちの存在は既に目に見えているワケですから、あとはソレを映像にしちゃえば必然的に結果はついてくるだろう、と。ですが、コレは暴挙です。無茶苦茶で瀕死の頭脳が生み出す恐るべき混同があります。紙面の上だけで、絵によってのみ完成され得る世界と、実際に人々が動き回ってソレを再現した世界とではどう考えても大きな乖離が生じているのでして、その辺の埋め合わせというか、言い訳というか、齟齬というか、とどのつまり原作を台無しにしちゃったコトをどう始末するお積もりかと申しますと、どうやら何も出来ないみたいです。ねぇ「DRAGONBALL EVOLUTION」の関係者サン。お噂は予々聞いております。漫画の世界と映画の世界を同一視しちゃうバカはどうしようもございません。漫画で映画を表現するには限界がありますし、逆に映画で漫画を表現するにも限界があると思います。総じて実写化を好む連中は漫画における表現というものを軽く見ているのではないでしょうか。ねぇ「DRAGONBALL EVOLUTION」の関係者サン。
もう一つくらい実写化をめぐる動きの、ソノ背景に関して邪推を致しますと、おそらく彼らはモノ好きなんです。「ウヒョヒョーイ、コレを実写化すれば快挙だぞ!」とか「この(漫画に描かれている)世界を実写でやれば、新しいモノが生まれそうだぞ!」とか考えちゃってる。コレは疑いなく一〇九個目の煩悩です。ソレが場合によっては「800枚の下着を盗んだ下着泥棒がいたらしいけど、じゃあオレが801枚盗めば新記録達成で世界王者だぞ」的な発想へと入り込んでしまっているコトを理解し得ていないのです。その野心は立派なモノかもしれませんが、状況をよく考えないで猪突猛進してしまった先にあるのは、歓喜の快挙ではなく、冷笑のみを浴びる、ヒトも寄り付かない終末の極北地点であるコトがシミュレートできていなかったりするのでしょう。多分。要はコレをこうするとどうなるかを見誤ってしまうワケです。何十億という大金を重ねるコトになるにも関わらず・・・
モチロン実写化して大当たりしたモノもありますが、そういた作品は総じて原作が現実世界と非常に近い距離にあったモノでして、本当に“漫画的な”、ソコだけで成立してしまうモノを紙の外へ、スクリーンにまで持ってきてしまうと大抵ロクなコトにはなりません。ねぇ「DRAGONBALL EVOLUTION」の関係者サン。


なぜすぐに実写化したがるのか?──コレは常に一つの大きな謎であり続けるでしょう。そして、とても“漫画的な”作品を勇んで実写化しようとする意志、どうせ空回りするだろうその意志だけは頂けません。少し自分たちのいる地点を見渡すコトができれば、スクリーンの中で何がどうなるかは大方想像できそうなものですがねぇ。

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