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2009年04月11日 しなやかな花

URBAN ROMANTICRie fu、4枚目のアルバム「URBAN ROMANTIC」。
前作の「Tobira Album」がそれまでの集大成的な一枚だとすれば、今作はその“扉”を開けた後の姿、つまり新たなチャレンジを示してみせた一枚ではないでしょうか。これまでとはうって変わり、全体に渡って打ち込みを基底にし、その上で各楽器が楽しく跳ね回っています。モチロン、それで何かが大きく変色したというのではなく、根本はずっと同じ場所にあります。彼女特有の流れるような自然なメロディーは相変わらずなのですから。加えて、前作から今作の期間にかけての大きな変化はもう一つあるように思えます。つまり歌詞なのですが、ココでは随分と冷静な“大人の女性”が顔を覗かせているような印象を持たせます。20代の半ばで「ビジネス」や「Money Will Love You」のような歌詞を綴れるのは、彼女が持ち併せる強みの一つではないでしょうか。このヒト、お金のコトや生き方のコトへの眼差しにしても、一歩引いてクリアな視線で捉えられるんです。もしかして、そういうコトも“URBAN ROMANTIC”の一つなのかしらん?


大雑把に申しますが、メロディーとそのアレンジの拡がりは、これまでのアルバムのなかでアタマ一つ抜けて豊かなものに仕上がっています。一曲一曲に細かな配慮が見えて、全12曲全12色のアルバム。とは言っても、その12色も最下部にはRie fuという色を明瞭に見せているという一点で共通しているのですが。
ところで、今現在の彼女のなかには、無理して何かを手に入れようとするのではなく、自分の周囲にあるモノを新たな視点で活用するコトで、次のステップに踏み出そうという、そんな素朴な気遣いもあるようです。それを示す「PRESENT」の歌詞は力強い。その力強さ、このアルバムにおいて見事に一つの大輪となり、輝きを放っているんじゃないでしょうか。「URBAN ROMANTIC」というのはとてもしなやかな花で、まるでアスファルトから顔を出す花のように力強く、Rie fuがこれまでに咲かせたモノのなかでも一番立派に咲き誇りました。


いつかより今を見て どこかよりもここにいて
誰かより君に届けたい そんなこと何度も自分に 言い聞かせていたい
〜PRESENT〜

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