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2008年12月05日 「わたし」

街中にクリスマスソングが轟き渡るイヤな季節になりました。ワム! 、ジョン・レノン、マライア・キャリー、山下達郎、B'z・・・ まったくどうしようもありません。私がお店の経営者なら今こそTUBEを鳴らしに鳴らします。冬を追い払っちゃいます。広瀬香美は入店お断りだ!


ところで、以前にも一度だけココに書いているはずなのですが、ブログといった空間にて一人称として「私」を遣うのに違和感を覚えるのです。日常生活において「私」とは言いません、私は。尤も言文一致を志しているワケではありませんから、日常で用いないからといって弊害があるとは申しません。日本語にあっては幸か不幸か多種多様な一人称が存在していますので、各自の選好によって遣い分ければイイというのでしょうけど、コレを確定するのが容易ではない。果たして「私」が最適な一人称であるか否かを他の一人称と比較検討してみることで考察してみましょう。

「俺(オレ)」…コレは何か偉そうな感じがします。親しいモノとの会話のなかであれば自然な感じに聞こえるのかもしれませんが、文章にしてしまうと傲慢かつ尊大な雰囲気が漂う。却下。


「俺様」…こんなのばいきんまんしか遣ってないよぉ〜 却下。


「僕(ボク)」…コレは何でしょう、ややナルシズムの気配があります。下手に出ているようにも思われて、わざとらしい謙遜があるとも誤解されかねないのではないでしょうか。却下。


「ボクちゃん」…みっともない。二十歳を超えたヤツが用いるモノではございません。却下。


「当方」…文章でコレを繰り返されるとちょっと堅苦しいかなぁ。「当方は次のように思いました」──このような文章は不自然でもあります。却下。


「ワシ」…オッサン臭い。奇を衒っているようにも思われる上に、ココにも尊大さがあって良くない。却下。


「ワテ(ワイ)」…この言葉にイヤなイメージを覚えるコトはありませんが、やはり文章のなかでコレを遣うのはわざとらしい。また、あまりにも「ワテ(ワイ)」などと繰り返すのは寒いようにも思われます。ギリギリ却下。


「オラ」…悟空か! でも、正直、悪くはないなぁ… けれど、マジメな文章を書いている最中に唐突にも「それ故にオラは・・・」などと書いてしまいますと、コレは途端にその文章自体がバカっぽく見えてしまうという欠点が浮上します。ギリギリ却下。


「オイラ」…眞鍋かをりサンがブログでこの一人称を用いていたはずです。イヤらしいイメージはありませんが、コレも上の「オラ」と同じような理由でギリギリ却下。


「手前」…時代劇などではたまに耳にする言葉です。「手前どもは」と言いますが、文章のなかで「手前の感想は」と書くのはオカシイかもしれません。却下。


「拙者」…お侍さんみたいです。奇を衒っているようにも思えます。ソレにこんなモノを多様していると、ちょっとイタイ。却下。


「我輩」…デーモン小暮閣下になっちゃうよ。被っちゃうので却下。


「筆者」…コレは良いかもしれません。でも相当に堅苦しいと思います。論文などではコレを用いるのですが、硬軟遣い分けたいこういった空間ではやや不適か。保留。


「自分」…コレも悪くはないと思います。でも無機質な感じがしてしまうのです。保留。


「お兄サン」…子供向けならば良いのかもしれませんが、不特定多数に公開する文面にて「お兄サンの見解は次のような点に集約されます」などと言ってみたトコロで、説得力は限りなくゼロです。圧倒的に却下。


「ミー」…ルー大柴サンと被っちゃいそう。また、かなりイタイタしい。却下。


「小生」…この言葉は結構好きです。今まで出てきたなかでは最良かもしれません。とりあえず保留。


「朕」…うわぁ〜 王様か皇帝にでもなりきってるつもりかい? 却下。


「アナタが今読んでいる文章を書いているモノ」…回りくどい。こんなモノを多様されるとイライラして仕方ないでしょう。「アナタが今読んでいる文章を書いているモノは今朝驚くべき体験をしました。アナタが今読んでいる文章を書いているモノはとても信じられないと思いました。しかし、コレこそアナタが今読んでいる文章を書いているモノにとって一大転機ともなる・・・」 余裕で却下。


「わたくし」…堅いなぁ。それなら「私」の方が宜しい。却下。


「アタシ」…女ならなぁ 遣っても良いんだけど、いかんせん男だしなぁ。却下。


「愚生」…この遜った感じはどうでしょう。相手がハッキリしている場合に、このような単語を用いるのは良いのかもしれませんが、ブログでは少し違和感があるかもしれません。ギリギリ却下。


「○(←適当な一人称を入れて下さい)」…読み手に任せるという斬新な発想です。「今日の昼に○(←適当な一人称を入れて下さい)は同僚とハンバーガーを食べに行きました。○(←適当な一人称を入れて下さい)はチーズバーガーとポテトを、○(←適当な一人称を入れて下さい)の友人はフィッシュバーガーと・・・」邪魔臭い! 即座に却下。


色々と検討して参りましたが、まずは保留しておいたモノを改めて確認しておきましょう。「筆者」、「自分」、「小生」──この三つです。そして従来の最も無難に思える「私」を加えて四つが最終候補に残りました。どうしましょう。う〜ん、まずは「自分」を投げ捨てましょう。コレを多様すると些か文面が混乱してしまうかもしれません。また、文章で一人称を「自分」に固定してしまうのはどうか、という問題も提起されます。
さぁ、「筆者」、「小生」、「私」の三つ巴です。「筆者」と「小生」と「私」 どれかを落してやろう。 う〜ん・・・・「筆者」を蹴落とそう。コレは論文の如き堅苦しくて面白みに欠ける文章に隔離してしまいましょう。…となると「小生」と「私」が残ります。これは難しい。間を取って「小私」としたいトコロなのですが、意味不明ですので、どちらかにしなければなりません。文面上読みやすいのは「私」かもしれません。「小生」も独特の味があって良いと思います。ひらがなで書いてみたらどうなるでしょう? 「しょうせい」「わたし」 おお! コレは悪くないかもしれん。「しょうせい」は理解し難いですが、ひらがなの「わたし」は妙な手垢が付着しておらずに、何か中性的な感じがイイと思います。というコトで・・・


確定:「わたし」
明日からは「わたし」でいきます。

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