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2008年02月15日 vs鼻毛マフィア

小学生か中学生の頃、鼻毛が出ておるヤツを見つけて随分とバカにした思い出を内包する。その時の私は「あり得ない。鼻毛が勢い余って飛び出してくるなんて、常軌を逸してる」と思っていたのでした。


月日は流れ、私は二十歳を超えた。
アレはおそらく三年ほど前のコトであろうか。或る朝、何気なく鏡と対面すると、ソコには並外れて目立ちたがり屋の鼻毛氏がいたのでございます。しかも単独ではなく。ソレはソレは衝撃を通り過ぎた先の呆然といった状態に陥ったのであって、私は誠に遺憾ながら出る杭を打たせて頂いた。
またまた月日は流れ、およそ一年ほど前のコトである。
例の如く鏡と対面すると、今度は見たことも無いような、想像の壁を踏み越えた、正しく常軌を逸した鼻毛氏が私を鋭く睨みつけておった。しかもあらゆる体毛の中で最強と考察されます太くて屈強なボディと高枝切りバサミも驚きの長さを兼ね備えて。彼は何かの目印に指定されても良いほど派手な体であったので、私はそのモノに「鼻毛のドン」というを御尊名を冠して、非常に畏れ多いコトではありますが、丁重に抜かせて頂いた。しかし、それからというもの、定期的に「鼻毛のドン」は我が眼前に降臨するものですから、その度に私は恐縮しながら毛抜きを用いらざるを得ないのでありました。―彼は外見とは裏腹に、足下が弱いので直ぐに倒せる。


目下「鼻毛のドン」は右側の方を我が住処と定めて活躍していらっしゃるご様子で、反対側は至って平穏なのであった。平和と戦争。右側だけがやたらと荒廃しているのであった。そうして最近はなんと「鼻毛のドン」は手下を引き連れてくるようになったのでして、彼を取り巻く連中が“ドン”を隠すような時もあるのでした。ソレ故に、致し方が無いので、私は“ドン”も手下もまとめてギロチンの刑に処さざるを得ないのです。残忍!
それにしても、あのように“ドン”とその手下たちに跋扈されては、右側の方だけにマフィアのアジトを建設されては、私とて気が抜けぬ。更に近頃は“ドン”及び手下という呼称では彼らを巧くカヴァーできぬような気がしてきているのですから、ココはいっそ彼らをお雛様にでも見立てて、「お内裏様」と「お雛様」、「官女」に「五人囃子」といった具合にでもしないと、些か物足りず迫力にも欠ける。
―私は今、一つのマフィアを体内に抱えてあるのでした。


二十歳を超えると鼻毛が我が敵となる、っておハナシ。
「エチケット」なんて美名に騙されて、軽く考えてちゃあいけない。相手は結構組織的に動いてくるコトを肝に銘じておくんだ!

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