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2007年04月12日 薄味〜健康の為に〜

Good God's Urgeペリー・ファレルというヒトは不可解だ。おそらく本人はそれなりにマジメにやっているつもりなんだろうけど、私にはこのヒトの“音楽観”のようなモノがまるで見えない。
特に今回取り上げたいPorno for Pyrosなどは、「何コレ?」と思わず呟いてしまっても不思議ではない。


さて、Porno for Pyrosであるが、私は断然この「Good God's Urge」が好きだ。
このアルバムは何から何まで非常に薄い。
まずジャケット。色合いが全体的に薄い。次にヴォーカル。これも薄い、それまでのペリー・ファレルのモノと比べると相当薄められている。そしてサウンドである。これはもう薄いを通り越して、凝視しないと見えてこない程だ。気を張って見ないといけないので、その分疲れる。
こんなので良いのかと思うけど、これが全体的にはかなりしっかりしたバランスで成り立っているから愉快この上無い。


何故こんなに薄いのかというと、それはおそらく料理と同じ事だろう。
濃い味付けのものばかりを食べていると、そのうち体調に異変を来す。
ならば、出来るだけ薄口料理を食べよう。健康の為には薄口が重要だ。
こんな理由で薄くなったのだろう。おそらく。
ずっと濃いままではやっていけない。そして知る薄さの重要性、である。


本作は明らかに、ペリー・ファレルというミュージシャンの作品群中においては異色作のモノだ。だからこそ面白いと思う。本人が意図してかどうかに関わらず、別の顔を見せた瞬間というのは、常に記憶に残るものである。
これがペリー・ファレルの別の顔。こんなに薄めてもやっていけるのか!と思うと、不図ニヤついてしまった。

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