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2006年11月16日 クラクションと童謡

先日、祖母が亡くなった。90歳を過ぎてたから、大往生といっても良いだろう。90年分の人生ってどんなんだろうなぁ。ちょっと想像し辛いわ。なんたって大正生まれだからね。第一次世界大戦をやってた辺りに生まれているんだからスゴい。激動の時代を生き抜いてきたわけだ。
今の私と同じくらいの年齢で結婚して、間もなく戦争が始まって、でも子供も沢山いて、孫も10人以上いる。


色々思い出すことはあるけど、兎に角優しいお婆ちゃんだったという印象ばかり。怒っているところを見たことがない。私なんかにもかなりお小遣いをくれたりした。


昨日の葬儀で印象的だったのは、安らかな死に顔と出棺の時の「プワァ〜〜〜〜ン」というクラクションの音。
テレビで有名人の葬儀、出棺の模様を放送しているけど、所詮テレビはテレビだ。あの音をリアルに伝えることはできていないと思った。


今まで、あんなに物悲しく響くクラクションの音は、聞いたことがない。


例えば、ロクでもないタクシーの運転手が鳴らす「ビッ!」というクラクションの音などは、人を馬鹿にしたような下衆の音だ。なんの感情もない。avexのミュージシャンかよ!と。


そもそも霊柩車のクラクションは、他のクラクションとは別のモノを使ってるでしょ?一般車にあの音は出せない。本当に良い音を出すよなー。


出棺の後、私を含む数名が用意されていたバスとは異なる別の車で火葬場まで行くことに。
ちょっと離れたところに車があったので、そこに向かう途中、祖母と馴染み深い近所のお爺さん(私も何度か見たことがある)が家の前で杖をついて出棺を見送っていた。その光景を思い出すと、今でもちょっと泣きそうになる。なんか寂しい光景だった。


もう一つ印象的だったのは、葬儀の前に「故郷」や「赤とんぼ」や「七つの子」といった童謡のメロディーが流れていたこと。
これも恐ろしく寂しい雰囲気だった。童謡ってあんなに切ない音だったのか。日本人の情緒を刺激するのかなぁ。


うさぎおいしかのやま
こぶなつりしかのかわ
ゆめはいまも めぐりて
わすれがたきふるさと


でも「七つの子」が流れてきたときに
烏なぜ啼くの
烏の勝手でしょ
と別の歌詞がまず出てきた時は、志村けんの偉大さ、影響力の大きさを改めて実感した。


亡くなる前日までは元気だったけど、明くる日急に息を引き取ったという。誰も死に目には会えず。
たまにあるパターンだね。
親族を心配させたくないから、急に死んだのよ。ずっと危篤状態なんかで、大勢をハラハラさせるより、パッと死んだ方が良いだろうと思ったの。ちょっと驚かせることになるだろうけど、それは仕方ないわ。あまりワタシのことを気にかけて、生活に支障をきたしたりしてもアレだからね、と故人の胸中を推測してみたり。


思い返せば、私は祖母に何も出来なかった。
恩返しという意味でも、しっかりやっていかねばならんなと自分を戒めております。
ご冥福を祈りつつ。

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