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2006年08月20日 その真意は!?

Barrett先日亡くなったシド・バレットの2nd「Barrett」。
この人のソロは「The Madcap Laughs」の方が好かれているような気もするが、私はこちらの方が好きである。というよりこちらに興味を惹かれる。
まぁ、どちらも甲乙付け難い傑作であることに間違いはないが。


私はこのアルバムを聴くと、変な気持ちになる。
彼のソロ作品はピンク・フロイドの時みたいなサイケっぽさが薄れて、どちらかといえば「歌モノ」としての要素が強くなっている。特にこのアルバムではそれが顕著だ。「The Madcap Laughs」の頃はサイケフォークとも言うことができたが、このアルバムはほとんどフォークともいえる。しかし、私はこれをフォークだとは思わない。曲自体は極めてシンプルな音作りで、いずれも聴き易いものだが。
何かよく分からないが、変な気がするのだ。若干歯車が狂ったような感じ。どうしても、これを単にフォークとして解してしまって良いのだろうかという思いが駆け巡る。
何か前衛音楽を聴いているような気持ち。


シド・バレットがどのような心境でこのアルバムを作ったのかは分からないが、このアルバムはサイケやフォークなどを飛び越えた斬新さがあるように思えてならない。
そうして改めてひとつひとつの音を意識して聴くと、その間合いに捕われそうになる。音と音との感覚が、何か絶妙なのである。
いやはや、まったく恐ろしいアルバムだ。
これはシド・バレットが残したとてつもなく難解なメッセージなのかもしれない。そんなことを考えてしまう程の違和感に包まれた怪作である。

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