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2006年04月24日 深〜〜〜〜い音の泉

Electronicビートルズのメンバーで誰が一番好きかと問われれば、私はジョージ・ハリスンの名を挙げる。
ご存じのように、ビートルズ内では常にジョン・ポールに次ぐ3番手の存在であったジョージだが、彼は徐々にその才能を伸ばしてくる。
そして「Revolver」の頃になると"Taxman"や"I Want To Tell You"といった超名曲を書くまでのミュージシャンになり、その後も"While My Guitar Gently Weeps"や"Long Long Long"を始めとして"Only A Northern Song"、"It's All Too Much"、"Something"などの最強過ぎる名曲を生み出した。
で、ソロになっていきなり天下御免の名盤中の名盤「All Things Must Pass」を世に出し、それ以後「Cloud Nine」や「Extra Texture」などの傑作を多く出している。(余談だが、「All Things Must Pass」はビートルズのメンバーのソロ作品中最高のものだと思う。これこそジョージがジョンやポールを凌駕した瞬間を示す何よりもの証だ)


そんなジョージの作品群の中で、私が最も興味深く、好きなアルバムがこの「Electronic Sound」である。邦題は「電子音楽の世界」
このアルバムはビートルズ解散前の1969年にアップルのサブレーベルであるザップルからリリースされたもので、ムーグシンセサイザーを用いて制作され、ビートルズのレコーディングにシンセサイザーを持ち込むきっかけとなった、というのはある程度有名な話である。
が、いかんせんこのアルバムは評判が頗る悪い。


これは約20分前後のインスト曲2つが収められただけの作品であるが、この2曲というのが非常に前衛的。
ビートルズ関連でいえば、ジョンの"Revolution 9"やPlastic Ono Bandとしてリリースされた諸作品中のオノ・ヨーコの曲みたいな感じ。
とにかく相当実験的なもので、現代音楽ともとれるような曲が2つ。


なんとも形容しがたいアルバムだが、私は大好きなアルバム。
音像が非常に心地よく、聴いているうちに引き込まれていくような感じを覚える。
前述したように、前衛的であり現代音楽的であるが、一方でエレクトロニカやノイズやコラージュ等にも通じるところのあるアルバムだ。
無限に広がる音の海を堪能できる日陰に置かれた名盤。

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