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2009年04月05日 ある絶頂の記録

Orgasm意味の分からないモノを、ヒトは拒絶してしまいます。己の脳において、ソレを適切に処理するコトができないからです。例えばこのCromagnonという名のバンドの「Orgasm」と題されたアルバムなどもそうした例に入るコトでしょう。誰しもが全身全霊を懸けるコトの不可能な地雷原。このアルバム、およそ全編に渡ってオッサンたちの意味の分からない叫びと意味の分からない呪文と意味の分からな悪魔的讃歌が延々と垂れ流され、ソコにノイズやらコラージュやらが同化してゆくという代物。喜び、怒り、哀しみ、楽しみといったマトモな感情は全的に放擲され、トチ狂った連中の悪意なき絶滅的な魂の浪費による快楽衝動にひたすら支配されている一枚なのです。誤解を恐れずに言いますと、これは最悪にして最上の悪ノリを封印した並外れた音楽的ヤクザです。


冒頭にも申しましたように、ヒトは意味の分からないモノを避けます。が、過ってソレに取り憑かれてしまったが最後、言いようのない絶頂に支配され、心身の制御は取れなくなるでしょう。 そうか!Orgasmはソコにあったんだ!──演っている連中にしか感ずるコトのできない悦びを目一杯詰め込んだ狂人たちの宴にして、真っ当に聴こうとすればあらゆるものが台無しになってしまう音によるテロ。異世界への誘い。現実逃避、狂気に関心のあるモノならば必聴のアルバムかもしれません。

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