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2007年01月10日 ハシワタリ

わにとかげぎす2巻古谷実の「わにとかげぎす」2巻。


う〜ん、面白いといえば面白いけど、話の展開が過去の作品とカブっていて、若干マンネリ気味じゃないだろうか。


各登場人物の奇怪な言動や、整然としたコマ割りなどは、前作「シガテラ」よりも更に磨きがかかり、惹き付けられる部分が多い。
そのため、後半部分には良い緊張感が漂っている。


ただ、変化の無い日常生活からの脱却というのが、この作品の大きなテーマだろうが、それがどういうカタチであれ、殺人、やくざ絡みの事件に関わることになってしまった時点で、もう否応無く“日常”とは大きく脱却してしまった(脱却させられた)ことになる。いきなりこのような展開に持って行ってしまって、後々大丈夫なのだろうかと思う。
人生観や価値観、良心の維持に決定的な影響を及ぼすような出来事に遭遇してしまったことで、主人公である富岡にどのような変化が起きるのか、それが楽しみだといえば楽しみだけど、一歩間違うと目指すべき“日常”を見失った、現実世界と乖離し過ぎた人物を描く安ぅ〜いSFのようなモノになってしまう可能性も無きにしもあらずや。


とはいえ、随所に見られるおかしなセリフや各キャラの妄想は、古谷実独特の世界で楽しい。


しかし「ヒミズ」、「シガテラ」という一連の流れを鑑みると、この「わにとかげぎす」のような作品に結びつくのは、ある意味で必然のことなのかな、とも受け取れる。もしかすると、この辺りが古谷実における一つの到達点なのかもしれん。ま、その辺りの個人的見解は、また機会(暇)があれば書こうかなと思ったり思わなかったり。いずれにせよ本作が完結するまで、ハッキリとしたことは言えませんね。うん、早合点は良くない。

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